台湾でツリークライミング2

ヒノキに感謝するジョンさん

【概要】 2004年2月11日~18日にかけて、中華民国(TAIWAN)のThe Society Of Wilderness(荒野保護協会)の依頼で、講演、調査、ワークショップを実施してきました。
前回、國立台灣大學での樹木医診断やフィジカルチャレンジャーのプレス・コンフェレンスなどについて紹介しましたので、今回は台灣大學演習林や玉山国家公園(日本で言うところの国立公園)での調査、台北での講演活動について報告します。


台北から玉山国家公園近くにある台灣大學の演習林まで、延々5時間ほどハイウエイをひた走りました。今日は演習林のゲストハウスに宿泊予定でしたが、なんとジョンさんはクスノキの上にツリーボートを張り、眠りについたのです。

若社営林区
ツリーボートのジョンさん

翌朝、玉山国家公園(「玉山」は日本ではギョクサン、台湾ではユィサンと呼ばれ、標高3,952mあります。)へ向かいました。台湾大学演習林の方や国立公園のレンジャーの方、台湾テレビの取材スタッフと車に分乗して山道をひた走ります。

玉山国家公園
玉山国家公園

途中、火事で焼けてしまった巨大な天然ヒノキやタイワンザルを見学し、日本で言う天然記念物に相当する巨大な保存樹(樹齢2,700年の鹿林神木)の前でテレビの取材を受けました。

焼けたヒノキ
焼けたヒノキ
タイワンザル
タイワンザル
鹿林神木
鹿林神木
神木テレビ取材
神木テレビ取材

山道を約3時間進んだところで、ようやく目的のツリークライミングポイントが見えてきました。今日は斜面の山林を切り開いて作った一面のワサビ畑に点在する天然のタイワンヒノキに登ります。

ワサビ畑全面
ワサビ畑全面

クライミングの前にまずは腹ごしらえ。ワサビ畑のオジサンとオバサンが、美味しい手料理で歓待してくれました。中でも菜の花の炒め物は台湾で最も美味しかったのでは?と感じるほどの味わいで、ジョンさんは購入してきたお弁当を食べずに、ここの手料理に舌鼓を打っていました。

ワサビ畑のおばちゃん
ワサビ畑のおばちゃん
ワサビ畑のご馳走
ワサビ畑のご馳走

さて、これからクライミングです。ジョンさんがヒノキにご挨拶をしてからビッグショットでラインを掛け、リードクライマーとしてルート設定しました。ジョンさんはクライミングする途中、ムササビのランディングポイントや糞などをみつけ、動物を脅さないよう慎重にヒノキを調査しました。台湾大学としてはこうした天然ヒノキなどの高木に着生する野生蘭を調査したいとのことでした。

ヒノキ樹上でTVカメラ・ジョンさん
ヒノキ樹上でTVカメラ・ジョンさん
ムササビの糞
ムササビの糞

次ぎにジリさんが登ると、既にジョンさんが二種類の野生蘭とサソリを発見していました。なんと台湾では冬でも樹上に、サソリやその脱皮した抜け殻が見られるのです。・・・・恐ろしい!
霧が毎日かかるような場所であるため、枝にはびっしりとコケ(苔)が生えています。

ワサビ桧樹上
ワサビ桧樹上
樹上のさそり
樹上のさそり

翌日は玉山国立公園の特別保護地区にあるトウヒにクライミングしました。玉山への登山口、標高は2,700mほどあるところで車を降り、笹藪を抜けて天然トウヒ林を目指しました。台湾大学側が既にスローラインをセットしてくれていたのですが、クライミングルートが不適切であったため、ジョンさんがセッティングをし直しました。

玉山入口
玉山入口
トウヒアプローチ
トウヒアプローチ

今日もリードクライマーはジョンさんです。台湾大学としてはキャノピー・リサーチ(林冠研究)をしているので樹高50先端の梢生長や花芽分化のサンプルを採取して欲しいとの依頼がありました。ジョンさんがクライミングし、次いでジリさんが、そしてティムさんが登りました。
このトウヒも前日のヒノキ同様、厚さ5cmほどコケ(苔)が付着し、野生蘭や他の樹木が着生していました。

トウヒ上のJohn&Jiri
トウヒ上のJohn&Jiri
トウヒ上のジョン
トウヒ上のジョン

ジョンさんは樹木の先端(樹冠)の上で、大学から依頼を受けたサンプル採取などを行いました。360度眺められる絶景も堪能し、トウヒに感謝して山を下りました。

トウヒに感謝する

17日には台湾林野庁の森林資料館でジョンさんが「ツリークライミングについて」、國泰(キャセイ)銀行・保険の国際会議場でジリさんが「日本の樹木制度について」講演を行いました。ジョンさんの講演では、彦坂利子さん、小原崇暉くん、小畑大空くん、そしていつもの仲間達が紹介され、聴衆の方々に感動の嵐を巻き起こしました。

ジョンさん講演会場
ジョンさん講演会場
ジリさんの講演会場
ジリさんの講演会場
講演会場でのジョンさん
講演会場でのジョンさん
質問する聴衆
質問する聴衆

18日には、ハードスケジュールを終えて、ジョンさんとお疲れのジリさんは帰路についたのです。

飛行機内でのジョンさん

                     

Director 川尻秀樹