たかきくんの作文
毎日、障がいを乗り越えてがんばっている人達を”フィジカルチャレンジャー”といいます。 私たちは”身体障がい者”という言葉は使いません。そんな仲間がツリークライミングを通じ、同じ木の上のすばらしい世界を分かち合います。
いつもツリークライミングスクールに参加してくれている、フィジカルチャレンジャーの小原崇暉(たかき)くんが、小学校一年生の時(平成13年度)夏休みの宿題の読書感想文で、ツリークライミングのことを書いてくれました。崇暉くんは左手指欠損の障がいや、多くの難病を負っています。病気や周囲の偏見にも負けず、前向きに物事にチャレンジしている彼の心が映し出されています。
なお、文中の”さっちゃん”とは『さっちゃんのまほうのて』の本の主人公です。
是非皆さんも読んでみてください。
『さっちゃんのまほうのて』
たばた せいいち
先天性四肢障がい児父母の会
のべ あきこ・しざわ さよこ
共同制作
偕成社
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『さっちゃん、いっしょに木に登ろうね!』
さっちゃん、お元気ですか? ぼくは一年生の小原崇暉です。ぼくも、さっちゃんと同じ魔法の手です。
ぼくは一年生になってから、ちょっと怖くなりました。そのわけは、さっちゃんと同じように手のことを言われることです。
ぼくは手のことを言われた時は、とても悲しかったです。さっちゃんの本のまりちゃんが、「さっちゃんはお母さんになれないよ! だって手のないお母さんなんて変だもの。」と言った時、ぼくはどんな人でもなれると思いました。
ぼくなら手のことを言われた時、「この手はみんなとちょっと違うけど、この手と握手すると、不思議な力が湧いてくるよ!」と言うよ。そう言うとみんな「わかったよ!」と言うよ。
ぼくが年長の運動会のリレーの時なんか、走る前みんなが「崇暉くんの魔法の手と握手すると、足が速くなるから、握手して?」と、握手しに来てくれたし。 「崇暉くん、同じチームになって?」とも、言ってくれたよ。 ぼくのすごい自慢だと思っちゃった。
一年二組で給食を食べる時、冷凍ミカンが出たら、みんながむいてくれたよ。 リョウタくんやアイミちゃんが「魔法の手のマッサージは気持ちいいよ!」って、言ってくれたよ。 シュウちゃんとカズくんは、ベーブレードを魔法の手で回せるように研究してくれたんだよ! タツくんは、いっしょに説明をしてくれたよ。
保育園のともだちや、一年生の友だちは、魔法の手が大好きで、わかってくれるんだよ! 知らない友だちが寄ってきて、いろいろ手のことを言われるのが一番イヤなんだよね。
ぼくだって、さっちゃんが幼稚園に行きたくなかったように、学校に行きたくなくなったことがあるんだよ。 アキラくんは最初は、変だと思ったけど、チョコレートを持ってきてくれたよね。アキラくんは考えて、心のほうが大切で大事にと思って、「ごめんね!」って、チョコをくれたんだよね。
ぼくは8月11日にツリークライミングに行ってきたよ。木に登る時は、空気はおいしいし、とっても気持ち良かったよ。 魔法の手で登ったよ。困った時は口も使って登ったよ。
ツリーボートの上で、悲しい気持ちを捨ててきたよ。 その時、とても気持ちよくて、うれしかったよ。 今度行く時は、さっちゃんもおいでよ? いっしょに木に登ろうね。
木の上のツリーボートの上で、魔法の手をつき出して、悲しい気持ちやつらい気持ちを山の森に、ぶっ飛ばそうよ。
そして、ぼくの魔法の手とさっちゃんの魔法の手をかさねて、いっしょにお昼寝しようね! 魔法の手から不思議な力が木に伝わるよ。
ジョン・ギャスライトさんが「地球は大きな貯金箱」と言った。 自然の貯金ができるよ。
これからは手のことを言われたら、説明した後不思議な力をわけてあげようね!さっちゃんも頑張ってね!
(★ 一部漢字表記に改めました)
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