TCJ恒例の森の感謝祭&樹木腐朽診断byドクターウッズ

Dr. Woods診断風景(赤いジャケットはジョンさん)

森で活動してきた仲間たちによる恒例の「森の感謝祭」。愛知県瀬戸市定光寺にある本部では、多くの仲間が東京や神奈川、山梨、長野、岐阜からも集まり有機肥料による土壌改良を行うとともに、音響波を用いた樹木内部診断システムDr. Woods(ドクターウッズ)のデモンストレーション、そしてジョンさんによるツリークライミングによるムササビ研究の講座がありました。
ここでは、みなさんがまだ馴染みのないDr. Woods(ドクターウッズ)の音響波を用いた樹木内部診断システムをメインに報告します。

今回の森への感謝は2ヶ所、1ヶ所はいつも撮影などでお世話になるツブラジイの根本、そしてもう1ヶ所は加藤さんを記念して植栽された「加藤の木(クスノキ)」です。この土壌改良のため東京や神奈川、山梨、長野、岐阜から仲間が集まってくれました。

森の感謝祭に集まってくれた人たち

森に感謝を捧げる中の自己紹介が終了した中で、メンバー同士で結婚されたカップルが紹介されました。夜にはジョンさんのツリーハウスでケーキイベントもありました。おめでとう有賀さん、チカちゃん。

メンバーの中の新婚さんカップル(どこ見てんの)

さてさて前置きはこれくらいで勘弁して頂きまして、本論のDr. Woods(ドクターウッズ)です。この機械は音響波を用いた樹木内部診断システムで、樹木断面を非破壊で表示できます。
同じような意味合いの腐朽部診断には、ピカスとかレジストグラフ、インパルスハンマー、ガンマ線などの利用がありましたが、今回の機械は日本国内の業者が「音響波」を使って二次元断面表示できるよう開発したものです。
センサーはピアノ線でできた極細の錐となっています。

Dr. Woodsで用いる診断の錐(センサー部)

センサーは充電ドライバーで樹皮から形成層に差し込めばOKで、木部を強度に穿孔する必要はありません。今回は初めての作業であったため、深めに木部に穿孔しましたが、音響波を発信することと受信の両方できればOKで、今回はセンサーを16個設置しました。

Dr. Woodsの錐を木部に差し込む

センサーを取り付け完了後、その上に幹の形状を測定するための輪尺に似たキャリパーを置いて、幹の断面形状をコンピュータに入力します。
この測定をしっかりしないと、図示したときに正確に見ることが出来ません。

Dr. Woods専用のキャリパーで幹の形状測定

センサーをコネクターケーブルでつないで準備完了、機械的に1番から音響波を出して、他のセンサーがそれを受信します。16本のセンサーをつなぐと、各々が順に音響波を発信し、他の15センサーが受信する仕組みで、内部診断するのです。

Dr. Woodsの測定準備完了

ジョンさんも実際のデモを見るのは初めてとのこと、興味津々に測定状況を確認しています。手前ではメーカーの米沢さんが、コンピュータ処理の状況を確認中。この機械を使えば、地中の根株断面もセンサーを変えることで測定可能だそうです。

Dr. Woodsによる診断中

測定した個体のセンサー取り付け部分における断面です。アカシデの地上20cm付近の普及の状況が画面に画像で示されます。

Dr. Woods診断結果(データ処理後に画像解析)

画像で赤い部分は腐朽部を示すように入力してあります。実際の断面でどこに腐朽が進行しているのか。また腐朽部分の断面積割合はどれほどかが、約30分の診断と解析の後に示されます。
予想通り、結構腐っていましたが、腐朽部が点在しているのも判ります。

Dr. Woods診断結果(赤いところは腐朽部)

最後に、他の個体の診断事例ではどうなっているのか。また同じ個体でも腐朽部の垂直分布はどうなっているのか。などなど、様々な事例を教えて頂きました。

他の個体のDr. Woods診断結果

今回の音響波を用いた樹木内部診断システムDr. Woodsのデモは、ジョンさんと文吾林造園株式会社の原孝昭代表取締役、JFEシビル株式会社の協力の下、腐朽診断することが出来ました。
なお、ここに示したアカシデを診断する前に、森の感謝祭で土壌改良したツクバネガシを診断しましたが、こちらの根株には腐朽は見られませんでした。


レポート 副代表 川尻秀樹