オーストラリアでのツリークライミング事情(4)

【 ISAACチャンピオンシップツリーでの Tree Climbing 】
 
 オーストラリアでは日本におけるジョンさんのツリークライミング活動が注目されており、レクリエーショナル・ツリークライミングの実績や、ツリー・ハブ(ツリー・セラピー)の実績が評価されているお陰で、特別にChampionship Treeへのクライミングが許可されましたので、その一部を報告します。
ワーク用システムでチャンピオン・ツリーに挑戦するジョンさん、ただ今準備体操中!
 

1.ジョンさんのチャレンジ

 これからクライミングするChampionship TreeはWork Climbで使用されたスズカケノキです。通常、私たちはブレイクス・ヒッチでクライミングしますが、今回はあえてワーククライムのシステムでチャレンジしました。
なお、クライミングに際してジョンさんがインストラクター“ワーククライムではどうしてブレイクスをつかわないのですか?”と尋ねると、その回答にビックリでした。“ブレイクスは最も安全な方法ですが、ロープの摩耗などランニング・コストが高くつくからです。”とあっさり言われてしまいました。
クライミング開始前のジョンさん。左のインストラクターも一緒にクライミングするのを待つ
スズカケノキの大木に登ったジョンさん。枝ぶりが見事な樹だ
ジョンさんに同行したインストラクターは、ジョンさんの手際の良さに舌を巻く様子。
ここまで、一緒に来ましたが“あとはご自由に!”と言って、そそくさとクライム・ダウンしてしまいました。
二つ目のベルは、樹上にセットされた高枝切りノコで鳴らす
最大の難関、幹から4m下に斜めに降りるリムウォーク
このコースでの最大の難関は、幹から伸びた長さ10mの枝が、先端に行くにつれ幹から約4m下に垂れ下がっています。この枝をリムウォークしながら枝先に設定されたベルを鳴らします。 重要なポイントは、1 的確なロープ操作、2 バランス感覚で、リムウォークの際に枝に荷重をかけ過ぎると枝が折れてしまいますので、ロープとリムの両方にうまく加重することが重要です。
ちなみに、ジョンさんのヘルメット(黄色)はアーボリスト専用のヘルメットで、ケブラー繊維が入っている特殊なワークヘルメットです。
 
リムウォークするジョンさん
簡単そうに見えるが、参加者の多くがこの辺で失敗する
ベルを鳴らすジョンさん

2.ジリさんのチャレンジ(ジョンさんのサポートあり)

次はジョンさんのサポートを受けながらジリさんの挑戦です。最初にジョンさんはワーククライムシステムを解除して、安全確実なブレイクスで登り、ジリさんはワーククライムで挑戦です。
 
最初のベルポイントで待つジョンさん
写真中央の枝の切断ポイントの巻き込み後が見事
 
チャンピオンシップに用いる樹木は極力木材の腐朽部などがない健全な樹木が選ばれます。このスズカケノキは成長旺盛で、的確な剪定が施されていた。写真に見られるように直径25cm以上の枝を剪定した後がこのように見事に樹皮が巻き込んでいる例は、日本でも滅多に見られません。大変良い仕事を見ることができました。
一人はしゃぐ日本人に不安気な地上の人々
二つ目のベルを素手で鳴らす
オーストラリアのワーククライムでは、使用するフットループは8mmが一般的で、これは足に使うだけでなく、体を支えるのにも使用するからだそうです。 最初は心配げに見ていたオーストラリアのスタッフも、TCJの知識、技術にあっけにとられていました。
ツリークライミングを知り尽くしたジョンさん、やっぱりスゴイよ! ジョンさんとジリさんの挑戦の間、このチャンピオンツリーは二人で貸し切りにさせて頂けました。オーストラリアのスタッフに感謝しながらスズカケノキを後にしたのですが、ジョンさんは近くの植物園で早速、仕事をしていました。
一仕事を終えて、パソコンでレポートを打つジョンさん
Director川尻秀樹 レポート