新宿御苑でチャレンジャー・クライムしたユリノキについて
今回、東京の新宿御苑のユリノキでチャレンジャー・ツリー・クライミングを実施しました。このクライミングには、ジョンさんはもちろん、関東近辺の仲間や中部、関西からの仲間も加わり、すばらしいイベントとなりました。
新宿御苑は皇室園地として誕生してから今年で100年、その記念すべきイベントにTCJが選ばれ、チャレンジャー・ツリー・クライミングが実現しました。
クライミングさせて頂いたユリノキの日本での歴史を見てみると、明治初期に遡ります。当時、明治政府が学監として招いていたアメリカ人学者モレーが、東京大学の伊藤圭介(日本で初めて博士号を取得した名古屋出身の植物学者)教授にユリノキの種子を贈り、その一部が新宿農学所(現新宿御苑)に植えられたとのことです。
今回はそうしたユリノキの一つ(幹周約3m)にクライミングさせて頂いたのです
今回はこのユリノキについて、もっと多くの豆知識を入れましょう。
ユリノキ(学名:Liriodendron tulipifera)は、モクレン科ユリノキ属の落葉高木で、北アメリカ東部原産です。日本ではユリノキの他に、チューリップ・ツリー、ハンテンボクとか呼ばれます。和名のユリノキは学名のLirion(ユリ)とdendron(樹木)に由来し、tulipiferaは「チューリップによく似た形の花が咲く」ということを意味します。英名のTulip tree(チューリップ・ツリー)は花が球根植物のチューリップに似ているから。ハンテンボクは葉の形が、日本古来の衣装である半纏に似ているためです。
ちなみに私がバージニア州で「Tulip tree」と言っても通じず、「Yellow Poplar」
と言うと初めて通じた苦い経験があります。
新宿御苑にはカラスも多く見られ、多くのユリノキの花がハシブトガラスに折られて落下していました。5~6月に咲く花は直径約6cmで、チューリップに似た形をしています。花の色は全体的には黄緑色ですが、付け根近くにオレンジ色の帯状斑紋があります。
ユリノキ属は現在、北アメリカと中国(シナユリノキ)に二種が分布するのみですが、この仲間の化石は上部白亜紀~第三紀の地層から出土しており,少なくとも氷河時代前の北半球に広く分布していたことが推測されます。
実際、ユリノキ属は北アメリカやグリーンランドの中世代の白亜紀層(今から1億3500万年~7000万年前)から化石が多数出土しています。
日本では昭和9年、岐阜県の中新世(約2000万年前)で見つかったのが最初とされます。
上原敬二博士の樹木大図説には、ユリノキの樹液でアルコール性の飲料を作る話が記されており、北アメリカでの別名もSap Poplar(樹液の採れるポプラ)と呼ばれます。
また、ユリノキの花は大量の花蜜を分泌することでも有名で、岩手県などでは、珍しいユリノキ蜂蜜が生産されています。
ちなみに、ユリノキの花言葉に「田園の幸福」というものがあります。今回の新宿御苑での一風景は、その花言葉にぴったりであったと感じました。
Director川尻秀樹 レポート