愛知万博(EXPO)会場のシナサワグルミ

★グローイングヴィレッジに移植されているシナサワグルミ

斜面の左下側から見ると
斜面の右下側から見ると

◆グローイングヴィレッジ周辺

高村造園の鈴木さん

先日からHPでも紹介していた愛知万博(EXPO)会場のシナサワグルミを、新年早々Johnさんと水野さんと一緒に見学してきました。

この二本の移植木はJohnさんがプロデュースする「グローイングヴィレッジ」のツリークライミングを応援してくださる高村造園の社長さんのご好意で寄付されたものです。現場では高村造園の鈴木さんが、忙しいJohnさんをサポートしながら面倒を見てくれています。

◆ツリークライミン体験会場

ツリークライミングはグローイングヴィレッジのメイン施設の横で行われます。写真-3、写真-4は児童会館屋上から見たグローイングヴィレッジの全景です。まだ、建設途中ですので判りづらいのですが、この中に世界各国の芸術家の作品やJohnさんのグローイング・ファニチャーなどが設置されます。なお、建物はEXPO後も恒久施設として残されるため、本当の味噌樽などは使用が認められません。実際の建物は内側を鉄骨で補強した木材で出来ています。
建物と建物はウッド・ウォールとウッド・デッキでつながっています。もちろん、バリアフリーで全域ご覧になれます。
チャレンジャーのお越しをお待ちしております。

斜面の右下からメイン施設を見上げた写真です。左後ろが児童会館です。

メイン会場前のシナサワグルミは相当な大きさです。専門家である私が見ても、こんな大木を良く運んできてくれたものだと不思議なくらいです。枝張りの大きさからして相当なものです。

メイン会場の斜面下側から見たシナサワグルミ

◆シナサワグルミについて知ろう

 1.なんでシナサワグルミなの?
枝振りはこんな感じです

そこがポイントです。実はEXPOの工事もここまでたどり着くのに多くの方々の協力がありました。しかし、会場を整備していただく段階で、グローイングヴィレッジのシンボルツリーが無くなってしまいました。
Johnさんは今回の万博のためだけに、大きな自然木を無理やり移植するのは環境のためにならないとして、頭を悩ませていました。そこへ高村造園の社長さんが「自分の所にあるシナサワグルミの第二の人生をここで過ごさせてくれるのであれば寄付しましょう。」と言って下さり、実現したのです。
枝振りはこんな感じです

2.シナサワグルミとはどんな樹木

皆さん、EXPOに来られる前に、ここだけは予習しておきましょう。シナサワグルミ(Pterocarya stenoptera)は、クルミ科サワグルミ属の落葉高木です。日本の山地沢沿いに自生するサワグルミに似ていますが、明治に導入された中国原産の樹木で、樹高は20~30mになります。自生地は湿気のある渓谷沿いで、水分が多く、水はけの良い土地を好みます。
サワグルミよりも小葉が丸く細かい鋸歯があり、複葉の軸に翼があるのが特徴です。漢名は「楓楊(カンポウフウ)」ともよばれます。名前から想像すると、ナッツのクルミ(胡桃)がなると思われるかも知れませんが、食べられるような実はつきません。
五月ごろに長い緑の花(花序)をたくさん下垂するので、すぐ目につきます。雄花序も雌花序も垂れ下がりますが、雄花序は黄緑色で雌花序は先端が赤みを帯びます。果穂の長さは約25cmにもなります。
タネにはカエデのようなプロペラがついており、風に飛ばされて母樹から離れたところに行きます。
日本のサワグルミより育てやすいため、街路樹や公園にも利用されており、名古屋市の東山植物園や六甲山系、広島県などの街路樹として見ることが出来ます。
木材としての利用は、器具材や印材が主流です。樹皮は強靭で織布や縄を作り、葉は殺虫剤に利用されました。
さて、肝心のアンカーの強度ですが、幹から出る枝の股部分をアンカーにすれば直径15cm以上あれば、腐朽などの欠点がない限り安心です。ただし、枝の中間にリングセーバーなどでアンカーポイントを設定するのは危険です。

シナサワグルミの花
(長さは約25cmにもなります)
シナサワグルミのタネ
(六月頃には見られるかな?)
シナサワグルミの葉(これで一枚の葉です)

◆おわりに

今回はEXPOにご参加下さる皆様をマネージメントしてくれる夏ちゃんも、現場に同行してくれました。現場では(財)2005年日本国際博覧会協会の平山さんと鵜飼さんも同行して、建設の進捗状況を確認して下さいました。
さて、みなさん三月の開幕をお楽しみに!

右からJIRI、Johnさん、平山さん、鵜飼さん

TREECLIMBING®JAPAN
Director JIRI(川尻秀樹)レポート